日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2012年05月22日報道ステーション 吉田沙保里選手~絶対女王の”脳”

今回取材させていただいたのは、絶対的金メダル候補、レスリングの吉田沙保里選手です。

これまでオリンピック2連覇、世界選手権で9連覇の11連覇中!

そして、ロンドンオリンピックでは世界大会を通して、12連覇の偉業に挑む沙保里さんですが、

その強さの秘密を改めて探りに行ってきました。

今回は、沙保里さんの脳に注目です!

 

お会いしてすぐに言われたのが「修造さん、元気ないですね」。。。

そんなこと全然なかったんですが、最初から沙保里さんの元気に押され気味でしたね。

今回はスポーツドクターの辻秀一さんにもお手伝いいただき、早速、沙保里さんの心の分析開始です!

心の状態を脳波で見るため、額にあてたセンサーで「集中」と「リラックス」の度合いを測ります。

この実験をしているときの沙保里さんの反応がなんともおもしろいんです。

「おもしろい。生きてる!生きてる!」って。

センサーをつけた選手と別のスパーリングすると脳波がどうなるのか見てみると、

これまた驚きの結果が出ました!

相手選手は、集中が上がると、リラックスが大きく下がったのに対し、

沙保里さんは、集中が上がっても、リラックスをキープできています。

世界選手権の残り3秒でタックルを決めた場面を思い浮かべてもらって脳波を調べてみても、

やはり、集中がバーンと上がったのですが、リラックスは下がりません。

相反するように思える二つの要素、「集中」と「リラックス」が両立できているということが、

勝負強さの秘密なんですね。

 

そして、究極の精神状態と言われる「ゾーン」。

スピードスケートの長野五輪で金メダルを獲得した清水宏保選手は、滑るべきラインが光って見えたと語り、

他の競技からも周りがスローモーションのように見えたという逸話が聞こえてくるなど、

トップアスリートの中ではよく知られている境地なのですが、

当の沙保里さんは「ゾーンって何ですか?」とのこと。。。

僕からしてみれば、もう「ゾーン吉田」ですよ。

ゾーンは、ゆらがず、とらわれず、集中とリラックスが共存して冷静な余裕のある感じ。

普通は、集中したら、リラックスすることはむずかしいですよね。

辻先生によると、どんなときも自分の心の状態に余裕をつくり出せるという人は、

ライフスキル、第2の脳が日頃から習慣のように使われているんだとか。

その第2の脳とは、いったい何なのか。

人間の脳は大きく分けて2つの機能があるそうです。

1つは認知脳。周りで起こる出来事に対し考える機能で、焦りや不安を感じてしまうのもこの脳だそうです。

もう1つがライフスキル脳(第2の脳)。自分の精神をコントロールする機能で、冷静で余裕のある状態を生み出せるのがこの脳。

そのライフスタイル脳を働かせる1つの方法が、普段から楽しむことだそうです。

沙保里さんは毎日の中で、それを無意識のうちに実践しているんですね。

キツい練習が続く全日本女子チームの合宿でも、苦悶の表情かと思いきや笑顔!

「楽しいのが一番。ずっと笑っていたいから。レスリングを楽しくやりたい。」というのが沙保里さんの考え。

辻先生によると、レスリングそのものが楽しいという思考こそが重要なんだそうです。

 

僕は、残り3秒だったら「やばいどうしよう」って負の要素がどんどん出てきて、冷静に見れないのが普通だと思うんですよね。

そして、僕は「ゾーン」に入るために、むちゃくちゃトレーニングしたんですよ。

そうすると、沙保里さんに言われたんです。

『「ゾーンに入りたい」とかそういうことを考えてるからダメなんじゃないですか?』 って。

おっしゃる通りです。これが世界1位と元世界46位の違いです。

「楽しい!楽しい!生きてることが!!」

 心の底から楽しんで生きてるんだなと強く感じましたね。

「沙保里脳っていうのはどういう感じですか?」

「のほほ~んとしてる感じ」

これが沙保里さんの心の強さです!

 

沙保里さんのことは、アテネオリンピックから取材させていただいてますが、今回も驚かされっぱなしでした。

いつも笑顔を絶やさない。

この元気がパフォーマンスにつながっているというのをお聞きして、完全に納得しましたね。

何があってもブレない沙保里さん、ロンドンでも最強の姿が見れるはずです!

 

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