日々の思いを本気で伝える!修造コラム
2015年01月26日【全豪オープン8日目】錦織圭選手ベスト8進出!
錦織圭選手が全豪オープンベスト8進出!
錦織圭 6-3,6-3,6-3 ダビド・フェレール(スペイン)
この試合、選手たち、そして世界のコーチ陣がもっとも注目していた試合だった。
何故なら、世界5位として初めて挑むグランドスラム大会であり、
今まで以上に世界中から注目され、プレッシャーのかかる中、
どんなメンタルを持っているのか、まさにテストマッチだった。
実は試合前、ブラッド・ギルバードがすごい勢いで僕のところにやってきた。
B:「どっちが勝つと思う、どっちだShuzo !」
S:「そんなの答え聞かなくてもわかるだろう!」
B:「ヘイ、SUSHI!」
訳の分からないことを言っているギルバード。ただ彼は只者ではない。
現役時代はトップ10、そしてA・アガシ、A・ロディック、A・マレーを世界一にした名コーチ。
まさに、カリスマコーチなのだ。そのギルバードが一時期、圭のコーチをしていたことがある。
技術的には良くなったものの、圭の性格には、アメリカンマシンガントークのギルバードは合わなかったようだ。
B:「Shuzo、俺がKeiに1年間言い続けたことがある。世界で唯一お前が学ぶべき選手がいる!と。
それこそが、今日の相手“フェレール”だ。175㎝、これといって武器もない、にもかかわらず世界のトップに君臨している。Keiだってできるんだ!フェレールのメンタルを学ぶんだ!とね。」
まるで圭に語り掛けるように、僕に熱く語るギルバード。
「4セットでKei?」 と言葉を残して、彼は去って行った。
その圭のメンタルは想像以上に強くなっていた。
試合前のコラムで僕は、「フェレールは鉄壁だ!」と伝えました。
はっきり言ってびっくりしたのは、フェレールが最初から壁が砕けている状態だったこと。
いつもの「しつこさ・忍耐力・ミスのなさ」がなかった。なんと凡ミスが44本!
小さなバイキング(前回のコラムで伝えているので省略)からは想像できない数である。
何故であろう…
これまで圭に4連敗してきているフェレール。
あと一歩というところまで圭を追い詰めた中での、圭のスーパーゾーンテニスに打ち砕かれてきたフェレール。
その時の思いが完全に消えていない、普通にプレイをしていては圭には勝てない。
フェレールの心には大きな大きな傷跡として残ってていたのだ!
だからこそ、今日のフェレールは・・・
本来のフェレールではなかった。無理してプレイさせられていた。
それだけ圭の貫録、そしてテニスがフェレールをメンタル的に追い込んでいたのだ。
そして今日圭が一番よかったこと。それは終始・・・
集中していた!
大事なポイントでしっかりと粘っこくポイントを奪い、焦らずペースをあげずにゲームを進めていた。
そして途中何度も見せた・・・
新幹線ラリー
黄色いボールが光線のように飛び交ったが、こだまフェレールは、のぞみ圭に歯が立たなかった。
そして圭はこの試合、バイキングを完全にバイキングにした。そう・・・
レストランビュフェのバイキングにしてしまったのだ!
前菜(サーブ)、メイン(ストローク)、デザート(ボレー)と全ての食事、ショットにおいて圭が主導権を握り、
自分が好き勝手に選びながら食い尽くしてしまったのだ。
本当に強くなった圭。いよいよ準々決勝。
相手は、昨年の全米で戦い5セットマッチの末勝利した、世界ナンバー4のバブリンカ。
次の試合も集中力を切らさず、最後まで自分のテニスを貫けKei !
現地で幸せを噛みしめている 松岡修造