日々の思いを本気で伝える!修造コラム
2011年11月25日報道ステーション 錦織圭選手~進化した「テニス」と「心」
今回は、11月5日に行われたスイス室内テニスの準決勝で、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手を破る歴史的勝利をおさめた錦織圭選手を取材させていただきました。
僕が持っていた日本人最高ランキングの46位を見事抜き去り、ランキングも24位まで上昇!
実に19年ぶりの最高ランキング更新です。
ご存知のとおり、ジョコビッチ選手は、今年の4大大会のうち、
全豪オープン・ウィンブルドン・全米オープンを制覇した現役最強のプレーヤーです。
そんな選手に、圭が勝ったかと思うと本当にうれしかったですね。
11歳のとき、修造チャレンジにいた圭が、なぜこれだけ強くなってきたのか、
それは、僕と違って、、、冷静だからです!
ジョコビッチ選手に勝ったときの気持ちを伺ってみると、
「勝ててうれしかった」と素直な気持ちを口にしましたが、
勝利の瞬間の映像を見てみると、大金星を挙げたというのに随分控え目なガッツポーズ。
僕が当時世界2位だったエドバーグ選手に勝ったときなんか、
倒れ込んで、人生で最大の喜び!というくらい表現したのですが、
圭は全然そんなことない。
なぜか聞いてみると、冷静な答えが返ってきました。
「本心は本当に喜んでるんですが、そこまで喜んで表現してしまうとすごい余韻が残ってしまって、
次の試合が浮いた感じになるというか、まだ大会は終わっていないし、優勝したらそこで喜ぼうと思って」
圭の心の成長を感じましたね。
今では、世界ランキング1位も夢ではない位置まで上り詰めた圭ですが、
去年は肘のケガの影響で、ランキングは一時898位まで下がったことも。
しかし、「戦い方を変えたこと」で、圭の劇的とも言える復活が始まりました。
今までの圭は、攻めていく攻撃的スタイル。
飛びぬけた才能と技術を持っていたからこそ、どんどん自分から動き、
得点を奪っていく攻撃的なスタイルが培われていったのだと思いますが、
一方で何が何でも攻めるというスタイルは、ときに強引なショットでミスを招くことも。
そのために、守りが主体のテニスに変更し、我慢強くラリーを続けて、
より確実なチャンスを待ち、ポイントを奪う。
本当に難しいことですが、ひたすら我慢です。
実は、ジョコビッチ選手との最初の試合展開は完全に負けで、
0-30になったときに、僕は「圭よく頑張った!」ってメールを書いてたんです。
負けたときにすぐ送ろうと思って、、、ゴメンね圭。
しかし、そんな不利な状況でも、粘って我慢して、守りが主体のテニスに徹し、
相手から主導権を奪った瞬間、今度は本来の攻めるテニスに転じ、
ファイナルセットは、なんと1ゲームも与えることなく6-0で世界1位を圧倒!
会心の勝利でしたが、何と言ってもその冷静さに驚かされました。
しかし、今年は意外にもこの試合以上に、テニスへの思いが変わったある出来事があったそうです。
それは、デビスカップのワールドグループ出場。
デビスカップは、世界130カ国の地域が参加する国別団体戦で、
日本は、1986年以降ずっと地域リーグ(114の国と地域)に属しており、
ワールドグループ(上位16位)には昇格できないままでした。
そんな中、今年7月に行われたデビスカップに、日本のエースとして3度目の出場を果たした圭。
個人プレーが主のテニスですが、日本を背負ってプレーすることの大きさを改めて感じて、
デビスカップには特別な思いがあったそうで、自分がどうなっても絶対に勝とうと思っていたんだとか。
今年は特に3月に震災もあって、自分の中でももどかしさというか、テニスに対する思いも新たに強くなりましたと語ってくれた圭の思いが爆発したんでしょうね。
9月にワールドグループ昇格をかけて行われたデビスカップのインド戦にも見事勝利し、
日本は実に27年ぶりのワールドグループ昇格です!
圭、本当にありがとう!!
実は11月20日に、東日本大震災のチャリティーテニスイベントがあって、
圭とプレーをしたのですが、とにかくビックリ。
やたら力が抜けているのに、ボールがとても速いし、重い。
しかも、試合が終わった後に「ありがとう」と肩を触りにいったら、なんと汗ゼロでした。
僕は汗だくだったのに。。。
これからも圭の活躍を楽しみにしています!