日々の思いを本気で伝える!修造コラム
2015年01月27日【全豪オープン9日目】錦織圭選手 ワウリンカ戦に向けて
全豪オープン準々決勝。8名の選手の中に KEI NISHIKORI の名前がある。
日本人としてこれほど誇らしいことはない。
「ん~~~、おめでとうじゃないですね。」
この言葉は、2012年の全豪オープンで、圭がグランドスラム大会で初めてベスト8まで進出し、その後帰国した時に僕がインタビューした時の最初の言葉だ。
僕が最初に「圭、これはおめでとう!ですか?」と質問した時の答え。
あれから3年。圭の目指している場所はただひとつ、優勝!
頂点までいよいよ3つ
対戦相手は スタン・ワウリンカ(スイス)世界ランキング4位。
全豪オープン、昨年のディフェンディングチャンピオンだ!
このカード、皆さんの記憶にも新しいと思うが、昨年全米オープン準々決勝の再現となる。
実は昨晩、DVDでその全米での戦いを見返してみたのだが、まさに世界最高峰のストローク合戦だった!
重いボールのワウリンカに対し、圭はコンパクトに強打し続けていた。
やっぱりワウリンカはすごいパワーだ!
最初から圭は追いつめられていた。いきなりブレークされワンサイドの展開に。
間違いなく、ワウリンカが圭を振り回しているポイントが多かった。
本当によくぞ勝利したと感じた内容。すでに終わっている試合にもかかわらず、WOWOWっと興奮?!
あれから半年。2人の対戦はない。
でも、ワウリンカは知らない。圭が変わっていることを。
2014年、圭は一年間の飛躍を一文字で表現した。
“変”
2014年は最も圭自身が変化し、変わった年だった。
実は圭、ワウリンカ戦についてよくこう言っている。
“あの全米のワウリンカ戦で大きな自信を得ることができた。自分のテニスを作り上げることができた。”
その“変”を一番感じることになるのが、ワウリンカなのだ!
◇変1 サーブの強化
ファーストサーブのフォームを変え、よりスピードが加わった。
ここまでの全豪での戦いの中でもノータッチエースが炸裂。200キロも越えた。
◇変2 コートの内側に入って主導権を持ち続ける圭にしかできない最新テニス
相手に“時間”を与えない。そして振り回し続ける。
世界で誰も真似できないテニスであり、誰もが憧れるテニスを確立した。
◇変3 自信
選手が自信をつけると変わる。心も体もそしてテニスも。
全米オープンでワウリンカからいただいたその自信を、ついにワウリンカが体感することになる。
◇変4 周りの評価
世界ランキング、圭は5位、ワウリンカは4位。圭より上である。
しかし周りは思っている。圭は今最も勢いのある真の優勝候補者だと。
世界中の圭ファンの応援パワーを圭もワウリンカも感じることになる。
◇変5 スーパーゾーン!
ATPワールドツアーファイナルズ、対D.フェレール戦で生まれたテニス。
いつもの低い姿勢ではなく、軽く突っ立ったままで、ラケットを振り切れば全部入る。
もっとも力が抜けた状態で攻撃し続ける圭にとって理想のテニス。
全豪オープンではまだスーパーゾーンに入っていない。この試合まで隠していたのでは?
◇変6 現地でWOWOWで松岡修造が解説…かも?
これだけはマイナスになる可能性が…
ワウリンカは、知っている。この勝負が自分のテニス人生においてどれだけ大きな試合になるかを。
なぜなら圭に負けることになると・・・世界ナンバー1の夢が遠のいていく。
そして、ディフェンディングチャンピオン、優勝しない限りはポイントが減る。
間違いなくランキングは、圭に抜かれることになる。
一方、圭
「もうここまで来たら変なプレッシャーはなく、挑戦者の気持ちで戦える」と語っている。
ただ、世界中の視線が一気に集まる戦い、色々なことが頭を過る試合になるのは間違いない。
だからこの試合、圭にこの言葉を送りたい。
考えろ!考えるな!
ワウリンカは世界一の片手打ちバックハンドの持ち主。
そしてそのバックから放たれるストレートはプレミアものだ。
誰も手がつけられない。圭はそのバックに苦しむことになるだろう。
そこでだ・・・
考えるな!
圭には「考えるな!」ができる最高の仕草がある。その仕草とは…
ワウリンカのナイスショットを褒めまくれ!
バックのストレートが炸裂したら、即座に親指をかっこよく立てて “ナイスショット!すばらしい!おめでとう!” と相手を褒め称える。
この仕草は圭が何度かこの大会でも見せているから皆さんもご存じのはず。
なぜ「相手を褒め称える」がいいのか?
自分が悪いショットを打ったから決められたのではない。相手が上手いのだ。
プロテニス選手、ましてや世界のトップ。すごいショットを放ってくる時もある。
その時に「何故決められたんだ。もっと厳しいところに打たなきゃダメだったのか…」と考えるのは損だ。
実は僕は現役の時これができなかった。
相手が上手いのにもかかわらず、「自分がいけなかったのだ。下手なんだ!」とマイナスに考えてしまっていたのだ。
考えても仕方がない、相手のことを褒めることができた時点で次に進めるのだ。
そして 考える
そのスペシャルバックハンドを封じるために…
◇狙え、コートのど真中を!
サイドラインを狙えばそれだけワウリンカにとってはターゲットができやすい。
真ん中は最も角度も、そしてエースも奪いにくいところ。真ん中にボールを集める戦略。
圭の頭脳ショットだ。
◇チェンジオブペース
スピードだけで、勝負すると相手のタイミングがあってきてしまう。
パワーが好き、力で押してくるワウリンカだからこそ、スライス、そしてループ系の山なりのボールを使えば相手のペースを崩せる。
◇波がある
ワウリンカはトップ選手の中で、最も心もテニスも波がある選手だといっていい。
圭はサービスゲームをブレークされても、またセットを奪われても「考えない」。
相手のアップダウンが必ずある。圭の波がやってくるのを信じていこう。
◇お株勝負!
圭もバックハンドのストレートが一番の武器だ。
ワウリンカ選手は片手打ちバックハンド、そして我らが錦織圭選手は両手打ちバックハンド。
お互いお株勝負だ!圭がストレートを決めれば決めるほど、相手は考え、より無理してお株勝負してくるぞ!
おい修造、何熱くなっているんだ!
どこまで書けば気が済むんだ!
読んでくれる皆さんの身になって考えろ 修造!
いや~~~、止まらなくなります。
自分も明日圭になって戦っていく。その戦略を考えると、そして緊張感を考えると…
本当に圭はすごい舞台で戦っているんだなぁ~~
この試合、出足から気になる・・・
最初のコイントスに勝ったら、圭はサービスを選ぶのかな?
何色のウエア着るのかな?
お殿様の格好をした日本の応援団はまた来るのかな?
また俺の写真を持っているやつがいて、圭に迷惑をかけたらどうしよう…
考えるな、修造!
明日の試合に集中だ!
明日もこのRod Raver Arenaで錦織選手の準々決勝が行われます!
このセンターコートの名前にもなっているロッド・レーバー像。
ロッド・レーバーさんはオーストラリアの選手で世界No.1やグランドスラム
4大会制覇を2回も獲得したことのあるテニス界伝説の選手です。
左側からパシャリ 正面からパシャリ 最後は右側からパシャリ