日々の思いを本気で伝える!修造コラム
2017年06月06日トンネル抜け出し 圭ベスト8!
全仏オープンテニス、錦織圭選手がベスト8に勝ち上がった!
錦織圭 0-6,6-4,6-4,0-6 フェルナンド・ベルダスコ(ESP)
今、試合が終わったばかり、解説終わってホヤホヤの中、殴り書き、嬉し書きをさせていただく。
この試合、昨日のコラムで「Keiトンネル」を抜け出すチャンスだと伝えたが、1セット、迷いの
トンネルの中、圭は最初から立ち止まってしまった状況だった。
第1セット 0-6
リズムが合わない、足も痛い、体が動かない。
ショットはコートの真ん中に入り威力もない、何をやっても悪い方向に動いてしまった。
正直、1セット目を見ていた人は思っただろう。
「このまま棄権するのでは…」
僕も解説しながら思わず口に出てしまった「錦織選手が勝つ突破口が見えない…」
決して諦めたわけではないが、ベルダスコのプレイも冴えていくなか、圭のコート上でみせる表現
がネガティブだった。そして、僕の脳裏によぎったこと。
「もしもこのまま負けてしまったら、トンネルを抜け出すことが出来なかったら、ランキングはと
ことん落ちていく。この夏までに20位近く下がってしまう可能性もあるな」と覚悟していた。
それだけテニスではなく、圭のメンタルが迷っていたのだ。
これほど悪いテニスは僕は見たことがない。
1セットはまさにいいところが1つもなしの『0(ゼロ)圭』だった。
セカンドセット、どうにか持ちこたえていたのは、圭の弱点といわれていたサービスだ。
ストロークでポイントを奪えない中、サービスが圭を救った。圭が動いた!動きまくった!
その動き方は…
初心に戻った!
ミスを少なくし、そして深いボールを打つ!ただ、その判断はタフだったはず。
なぜなら、痛い足をより動かさなければいけないし、ポイントも長くなる。圭が
一番したくない選択だったはずだ。でも圭は自分自身と戦った。
ポイントをとっても、うずくまる仕草、まるで、敗者のようなそぶり。
それでも戦い続けた。心も体も動きまくった泥臭いテニス。圭らしいテニスではない。
それでも圭はもがき続けた。このゲーム奪われたら、ポイントを落としたら、試合が終わる…
そんな時間がセカンドセットはたくさんやってきた。解説していて、胸が苦しくなった。
トンネルの中で動きまくる圭を見ていて、「どこにそんなタフさがあるんだ!」と。
すると圭のポジションが変わってきた。
ベースラインの後ろで走り続けた圭が、本来のポジション、ベースライン上に立ち、打てば
ラインぎりぎりで、体の力みが1つもない。
第3セット
明るい光が!トンネルの出口が!見えてきたようだった。
目の前の圭は数時間前にみた錦織圭ではなかった。圭が打つボールは自動的にコートに入って
いくように見えた。…ん?こんな大事な時に、なぜか僕の脳裏には宇多田ヒカルさんの歌が
浮かんでいた。
Automatic圭!
想像力があり、天才、感性、まさに“感性 圭”が蘇ったのだ!
全てがOKのテニス。
0(ゼロ)圭 が 0(オー)圭(K)!に変わった!
この試合「苦しんだ」、でも「諦めなかった」、そして「自分を信じた」ことにより、圭トン
ネルを抜けだしたのだ!
やっと出たぞ! 抜け出したぞ 圭!
さあ、次は、世界No.1のアンディ・マレーだ!
コンピューターを打っている自分の手から汗が・・・
興奮と感動の全仏オープン!
これから、対マレー戦に向け、Automatic 修造