日々の思いを本気で伝える!修造コラム

2020年09月13日なおみエボリューションで、再び掴んだ全米オープン女王!

全米オープンテニス女子決勝

大坂なおみ 1-6 ,6-3,6-3 ビクトリア・アザレンカ

日本時間13日朝5時。最初のポイントから女子テニス最高峰の戦い、まさにウェークアップコールテニス、凄ましいラリーでした。ただこの試合、第1ゲーム大坂選手のサービスゲームから異変が起きました。正しい攻めで大坂さんにチャンスボール、でも痛恨のミス。

アザレンカ選手と言えば、グランドスラム2度制覇、元世界ナンバー1。ただその後ケガ、また出産、離婚をふくめ、今年テニスをやめようとまで感じていたという。そんな彼女が決勝まで上がってきたのだから、優勝への想いは誰よりも強かったかもしれません。30-40のブレークポイントは、本来であれば大坂さんがブレークできる状況でしたが、自信も動きもすべてよしのアザレンカのしつこく、そして勢いのあるプレーに大坂さんは焦ってしまったのでしょう。そこからの第1セットはアザレンカ選手の独壇場となりました。ベースラインから決して下がらず、しかもフォアハンドもバックハンドも、ダウンザライン(ストレート)のショットを放ち、アザレンカが完璧に試合をコントロール。なんとアザレンカのファーストサーブの確率は94%。しかもセカンドサービスの獲得率100%と完璧でした。気が付けば6-1でアザレンカ選手が1セット先取をしていました。

セカンドセットに入っても2-0とアザレンカの一方的な流れ。なおみさんの心はセンターコートからいなくなってしまっていた感じに見えましたが…そこからでした。

超スローペースなおみテニス!

強打をやめ、ゆっくりとしたショットを加え、あえて時間を作る。サーブもスピードを落としました。これは、今までのなおみさんにはなかったアイディア、パターンです。とにかく、ペースを落としコートにボールを入れることからなおみさんのテニスが安定してきたのです。

一方のアザレンカ選手はというと…なおみさんのペースが変わったため、うち急ぎ、急凡ミスがではじめ、なおみさんは相手のタイミングを崩すことに成功、流れを変えたのです!

そこからのなおみさんは強かった!今大会に、何度も繰り出した強烈なおみショットが戻ってきて、セカンドセット見事6-3でイーブンに。

ファイナルセットはお互い闘志あふれるプレーでしたが、勢いのあるアザレンカ選手でさえも、なおみさんの勢いを止めることはできませんでした。

しかし、すごい女子決勝戦でした。最後まであきらめず頑張り続けたアザレンカ選手に敬意を表したい。そして、なおみさんが言っていた「何度転んでも前向きでいればいつかまたたどり着けると信じている」その言葉通り、自分を信じた力は強かった!

 無観客の客席を横断幕で覆っていたセンターコート、そこに書かれた文字

Black Lives Matter (ブラックライブズ マター)」

New York is tough! (ニューヨークはタフ!)」

まさになおみさんはタフだった!優勝が決まった後、センターコートにゆっくりと歩き仰向けになり空を見上げていた。そんななおみさんの姿を見て、僕は「なおみさんは一人で戦っていたのではなく世界中の皆さんと思いを共有していたんだな」と感じました。

人種差別、コロナ禍…と特別な全米オープン。おみさんのメッセージはしっかりと届いています!苦しいこともあるけど前を向き信じること、世界中が心を1つにすれば幸せを見つけることができる!なおみさん、ありがとう!おめでとう!

なおみさんの心からの笑顔がみれて、僕も心から嬉しいです!

そして、Teamなおみのみなさん、おめでとうございます!

相手のアザレンカのテニスも素晴らしかったです。心の底からテニスを楽しみ、闘志むき出しに戦う姿に感動しました。アザレンカにとって人生苦しんだ経験が、前向きに表現できた決勝戦でした。その壁をすべて退けた理由は、なおみさんの進化にあったのです。

あまりにも興奮している自分。ここからは、僕をはじめ、世界中に勇気を与えてくれた今大会のなおみさんのプレイを見て、僕から皆さんに伝えたいことを記させていただきます!

コロナ禍で行われた特別なグランドスラムとなった全米オープンテニス、女子シングルス女王に輝いたのは、日本の大坂なおみ選手!そのテニスは、まさになおみエボリューション!

Evolution(エボリューション)=進化

今大会、7つのマスクで登場したすべての試合、相手のテニスはまさに120パーセントの出来でした。2年前の全米でなおみさんがグランドスラム初優勝を果たした時の僕のコラムを遡ってみたのですが、その時になおみさんが何度も言っていた3つの言葉を見つけました。

よく走る!・頭を使う!・がまんする!

あれから2年、すべてにおいてなおみさんは進化していたのです。

何が進化していたのか…っということで、なおみ3か条エボリューションをみなさんにお伝えしたいと思います!

◆進化したスーパーコートカバリング

コート中を駆け回る。速い、姿勢も低い、バランスが素晴らしい。以前よりも重心を低く保ち、まるでボールを追いかける姿は獲物を捕らえているようだった。そして、なおみ土台はびくともしない。その成果は間違いなくコロナ禍から加わった新トレーナー中村豊さんの存在だ。

写真提供:中村豊トレーナー

今やシャラポワのツアートレーナーとして有名になったが、これまでIMGをはじめ様々な場所で活躍していた。フロリダを拠点に頑張っている望月慎太郎選手のようなジュニアからトップまで、多くの選手を見てくださっている。

写真提供:中村豊トレーナー

とにかく選手とのコミュニケーション力がずば抜けていて、なおみさんのテニスをより進化させるためのトレーニングをステイホーム中コツコツと、そしてなおみさんとともに厳しく行ってきた成果が現れたのだ。

写真提供:中村豊トレーナー

◆進化したスーパーインテリジェンス

今年1月から新しく就任したウィム・フィセェテコーチの分析力が、なおみさんを進化させた。データを重要視していくなか、今回自粛期間がお互いの考えを共有する時間となった。

なおみさん自身も「コーチとたくさん話した。相性がいい。試合前にパワーポイントでとてもしっかりとしたゲームプランを提示され、役立っている」と言っていた。だからこそ、毎ショット毎ショットしっかりとした目的、理にかなったショットの選択ができるようになり、明らかにミスが減った。より頭を使ったテニス、これは大きな進化である。

◆進化したスーパー我慢力!

 今年の全豪の状態のままであれば、間違いなくなおみさんは今大会において決勝までの7つの階段を上がりきることはできず、自分のテニスを思うようにさせてくれない試合ばかりで、我慢しきれず自滅していたはずだ。だが、今大会でしっかりと壁をクリアできたのは、我慢力の賜物だ。その力はコロナ禍から培ったものと僕は想像している。テニスが人生のすべてではなく、テニス以上に大事なことをこの期間に感じた、というなおみさんだからこそ、メンタルに幅ができたと僕は感じている。

以上が、なおみレボリューションの3箇条ですが、もう1つなおみさんが注目されていたのは…

世界中に広がったなおみメッセージ

なおみさんの思いはコート外での言動にも表れていました。

それは、世界中から注目されたなおみさんのメッセージ力。それは、今年の全米オープンだったからこそ許された社会的メッセージ。なおみさんの想いが、テニスをする姿を通じて「今こそ思いを共有して前に進むとき!」、そんなメッセージが彼女から伝わった気がします。

なおみエボリューションは、これからも続きます!

なおみさん、おめでとう!ありがとう!そして、MOREエボリューション!